カレースターの貧弱な知識と電波な思考 3

カレースターと称している水野仁輔さんの著作、幻の黒船カレーを追えはデタラメ、嘘、捏造だらけの悪質な本です。

 

日本のカレーのルーツであるイギリスのカレーの歴史を知りたいならば、幻の黒船カレーを追えを買ってはいけません。お金と時間を代償にして手に入るのは、嘘やデマ情報ばかりです。

 

チキンティッカマサラ以外にも、水野さんの不思議な歴史創造術は存在します。今回はカレーに関するイギリスの料理本の歴史についてです。

 

イギリスで最初にカレーレシピを掲載した本は、1747年発行のThe Art of Cookery, Made Plain and Easy by Hannah Glasseです。ただし、カレー粉は使用しておらず、小麦粉でとろみをつけることもしていません。

 

これについては、「幻の黒船カレーを追え」においても正しく記述されています。事実とくい違ってくるのはこれ以降です。

 

私が持っている料理書の中では、1777年発行のThe Lady's Assistant for Regulating and Supplying Her table by Charlotte Masonが、カレー粉を使ったカレーレシピを掲載した最古の本です。

f:id:hikaridept:20170930023939j:plain

一般には、1784年の広告がカレー粉の最古の記録といわれていますが、こちらのほうが古い記録となります。

 

ちなみに、Edmund CrosseとThomas BlackwellがC&Bを設立したのは1829年なので、&Bがカレー粉を発明したというのはデマです。英語圏では見たことがないデマなので、おそらく日本国内にのみ流布するデマでしょう。

https://www.crosseandblackwell.co.uk/about-us/

 

このThe Lady's Assistant for Regulating and Supplying Her table by Charlotte Masonのカレーレシピでは、タマネギをアメ色(brown)に炒めています。イギリスでは二百数十年前から、タマネギをアメ色に炒めていたわけです。タマネギをアメ色に炒めるのは日本独自の文化だという水野仁輔さんの主張はデマです。

 

小麦粉でとろみをつけるカレーレシピは、1802年のThe Art of Cookery Made Easy and Refined by John Mollardに登場します。シーフード(ロブスター)カレーもここに登場します。

 

といっても、あくまで私の手持ちの料理書の中では最古というだけです。おそらく18世紀末までには、カレー粉を使い、タマネギをアメ色に炒め、小麦粉でとろみをつけるというイギリスのカレースタイルが確立したと思われます。シーフードカレーもこの時期に誕生したと思われます。

 

一方、余り肉(cold meat)を利用したカレーはこの時期には登場していません。下記の大ヒット料理本、Rundellやイライザ・アクトンの料理本にも登場しません。”昔からブリティッシュカレーでは(中略)食べ残した肉を使うのが主流だ”(幻の黒船カレーを追えP30)という水野さんの主張はデマです。

 

1807年、A New System Of Domestic Cookery 'A Lady' (Mrs. Maria Eliza Ketelby Rundell)が出版され、大ヒットとなります。3つのレシピのうち2つはシーフードカレー(鱈 ロブスター ロブスターカレーのレシピは不備があり1809年版で修正)、3つともカレー粉、小麦粉、アメ色に炒めたタマネギを使うというイギリス伝統のカレーです。

 

19世紀の大ヒット料理本といえば、このRundellの本と、イライザ・アクトンのModern Cookery for Private Families、ビートン夫人のThe Book of Household Managementの3冊があげられます。後者2つの本のカレーレシピについてはすでに解説済みです。

 

インドカレー伝(リジー・コリンガム)、カレーの歴史(コリーン・テイラー・セン)には、これ以外にもたくさんの料理本が登場し、様々な切り口からイギリスのカレーの歴史を解説してくれます。

 

さて、水野仁輔さんは、最古のカレーレシピ本、1747年発行のThe Art of Cookery, Made Plain and Easy by Hannah Glasse以降の料理本を、どう評価しているのでしょうか。

 

”これまでカレー史では、この1861年に出されたビートンの本が、ブリティッシュカレーのレシピを残す最古の書物だとされてきた”(幻の黒船カレーを追えP234)

 

彼の脳内のカレー料理本史は、1747年から1861年まで100年以上、空白だったのです。

 

明日は、この水野流”カレー史”が、どんな電波を受信して形成されたのかを検証してゆきます。