カレーに関する5つのデマその5 よこすか海軍カレー:悪質なデマを流す横須賀市

カレーに関する5つのデマその5 よこすか海軍カレー:悪質なデマを流す横須賀市

 

 

 カレーに関する5つのデマの最後は、よこすか海軍カレーです。いままで取り上げてきたカレーに関するデマの中でも、その悪質さにおいて水野仁輔さんの「幻の黒船カレーを追え」に比肩するものです。

 

 もし、以下のような話を聞いたら、皆さんはどう思われるでしょうか?

 

「ある外国の都市が、最近になって突然、握り寿司をその都市の名産品とアピールしはじめた。その都市の役所によると、握り寿司は日本で生まれたものではなく、その都市で発明されたものだという。しかしながら、その主張を裏付ける資料はまったく存在しない。」

 

 自治体が他国の文化を盗むとは、なんと民度の低い人たちだ、と思うのではないでしょうか。

 

 この他国の文化の泥棒行為を実際に行っているのが、横須賀市です。

 

 横須賀市が中心になって設立された「カレーの街よこすか推進委員会」は、公式ページで日本のカレーが生まれた経緯を次にように説明しています。

 

明治17年、海軍軍医だった高木兼寛(後の海軍軍医総監)は軍艦筑波号による航海実験を行い「兵食改革」に着手しました。イギリス海軍で提供されていたカレー風味のシチューに小麦粉でとろみを付けて、ライスにかけたメニューを軍隊食に取り入れたのです。”

 

”このときに採用されたメニューが現在の日本のカレーライスのルーツと言われています。”

 

 これは、平成11年に横須賀市が捏造した嘘です。そのような史実はありません。

 

小麦粉でとろみをつけたカレーをライスにかけて食べる文化はイギリスで生まれ、日本に持ち込まれたものです。海軍が発明したものではありません。

 

・日本最古のカレーレシピ、明治5年の「西洋料理通」「西洋料理指南」でも小麦粉でとろみをつけています。海軍御用達の西洋料理レストラン精養軒の明治時代のカレーも、このタイプのものです。

 

・明治17年の筑波号の食事メニューについての資料はありません。そこでカレーライスが食べられていたことを証明する資料もありません。

 

なぜよこすか海軍カレーは、明治17年の「カレー風味のシチューに小麦粉でとろみを付けて、ライスにかけた」レシピではなく、その24年後の明治41年に発行された「海軍割烹術参考書」にもとずいて作られているのでしょうか?それは、話のすべてが捏造された嘘で、明治17年の海軍カレーレシピなど存在しないからです。

 

イギリス海軍に”カレー風味のシチュー”という料理は存在しません。海軍だけでなく当時のイギリスにカレー風味のシチューは存在しません。日本人が思い浮かべるような「カレーによく似た」シチューは、ヴィクトリア朝のイギリスには存在しないのです。

 

(以下のパラグラフを修正しました 2018年11月23日)

 以上、詳細については2018年冬コミケにおける「と学会誌42」にて説明します(上記ブログにて記述した点については、いくつか訂正箇所があります)が、「小麦粉でとろみをつけてライスにかける」カレーが日本の海軍ではなく、18世紀末のイギリスで確立した点については、以下のエントリを参照してください。

hikaridept.hatenablog.com

hikaridept.hatenablog.com

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 さて、このよこすか海軍カレーと水野仁輔さんの「幻の黒船カレーを追え」が、数あるカレーデマの中でも特に悪質なデマであるとする理由は以下の2点にあります。

 

1.自分の利益のために、明確な悪意をもって嘘をついている。

 

2.自分の利益のために、泥棒行為を行っている。横須賀市はイギリスの文化を盗み、水野仁輔さんは他人の著作を盗作している。

hikaridept.hatenablog.com

 

 しかし、盗作と捏造の詐欺本「幻の黒船カレーを追え」にも、評価すべき点が1点だけあります。

 

 幻の黒船カレーを追えにおいて、水野仁輔さんは呉を訪ねます。そこには横須賀海軍カレーのブースがあり、”横須賀商工会議所で海軍カレーの担当をしている職員”から水野さんはこんな話を聞きます。

 

「我々は長いこと海軍カレーの取り組みをしていますが、正直言って、そのルーツに関しては、誰も踏み込んで理解している人はいないんです」

 

 横須賀商工会議所は、横須賀市とともに平成11年に「カレーの街よこすか推進委員会」を立ち上げた主体です。

 

 その横須賀商工会議所の海軍カレー担当者が「正直言って、そのルーツに関しては、誰も踏み込んで理解している人はいないんです」と証言するということは、高木兼寛だの筑波号だのイギリス海軍のカレー風味のシチューだのが、捏造された嘘だと告白するのと同じことです。

 

 水野さんは、このことに気づかず、当人の許可もとらずに秘密の会話をばらしてしまいます(担当者の名前を忘れているということは、本に書くことの許可も取っていないのでしょう)。

 

 水野さんは期せずして、よこすか海軍カレーという平成11年に捏造された嘘を暴いてしまったのです。

 

 「幻の黒船カレーを追え」は嘘や捏造だらけの悪質な本ですが、3年前からよこすか海軍カレーのデマを追求してきた私にとっては、この横須賀商工会議所の海軍カレー担当者の証言一つだけで、もとが取れたと思っています。